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●泡の痕跡だけが見えるものは比較的多く見つかりますが、本品は、中生代の水と大気が琥珀の中に封じ込められています。大変希少なものです。
●写真の三角形は、泡の位置を示しています。
●水泡だけではなく、虫も閉じ込められています。
「この世界で一番きれいな空気」
空が黄色に染まっている。黄砂だ。他にもPM2.5やら花粉やらも飛んでいる。
真美子にとって、春はゆううつな季節だ。この時季になるといつも、空気のきれいな場所に逃げ出したくなる。
でも、いったいどこに行ったらいいのだろう。
ネットで「空気のきれいな場所」を検索してみる。
ある調査では、世界で一番空気がきれいな国はアイスランドらしい。大都市ではカナダのカルガリー。フリーターの真美子に、そんなところまで旅行する余裕はない。
日本の47都道府県の中では、山形県がPM2.5の濃度が一番低いのだとか。でも、どこでもPM2.5は存在するみたいだ。
真美子は、検索を続けた。
アメリカ、コロラド州立大学の研究チームによると、世界で一番きれいな空気は、南極大陸周辺の南氷洋上空のものらしい。
しかし、そんな場所に行くことはできない。
ここで真美子は、空気を汚している一番の原因は人間なのだということに改めて思い至った。
──では、人類誕生以前の空気はこの世に存在しないのか。
さらに検索を続ける。
すると「可動水泡」という、聞きなれない言葉がネット上に現れた。
それは、一億年前の空気が入った琥珀らしい。樹木からにじみ出る「樹脂」というどろどろした液体の中に一億年前の空気が閉じ込められ、そのままの形で固まったものが、今でも残っているのだという。
興味を持った真美子は、メルカリに出品されていた「琥珀 化石 可動水泡」を購入した。8000円は痛い金額だったが、アイスランドやカルガリーや南極に行くよりはるかに安い。
届いたのは、縦横3×2センチほどの、黄金色の透き通った石だった。その中に、確かに気泡らしいものが見える。
目を凝らしてやっと見えるほどの大きさだったが、真美子は感動した。
──これが、この世界で一番きれいな空気。
それから真美子は、その石をお守り代わりに財布に入れて持ち歩くようになった。
春の辛さが、少しだけ減ったような気がした。
| 商品の状態 | 目立った傷や汚れなし |
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